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LivingAnywhere Commonsでテレワークをしながら、色んな場所を旅してみる。〜伊豆下田編(3)〜

40歳を超えて世界一周を経験しフィリピンに定住するようになってからは、シェアハウスなどの共同生活住居を中心に生活していたので、コロナ禍で日本に戻ってきて、また新たに一人での生活を始めた僕は、食事を一人で取ることや、夜一人で過ごすことに、ちょっとした寂しさを感じていました。

LivingAnywhere Commons伊豆下田に来てからは、いつも誰かの気配を感じながら暮らすという、以前の生活が戻ってきたような感じがして、そのことは僕をとても温かい気持ちにしてくれました。日本に帰ってきてからというもの、誰かと食事を摂ることもなければ誰かと言葉をかわすこともほとんどなくなっていたからです。

喫茶お山

伊豆下田での生活も終盤に差し掛かった木曜日の朝、LACのコミュニティマネージャーの佐藤さんから「日本一美味しい朝ごはん食べに行きませんか?」と声をかけていただきました。

漁師町伊豆下田は朝早くから営業している地元のごはん屋さんが有名です。ぼくも現地の情報をもとにその前の週の週末に早起きして一人で行っていたのですが、この日僕が誘っていただいた「喫茶お山」は、あまりネットなどには掲載されない、地元民御用達のお店ということでした(だからここで紹介するのは実は少し気が引けたりしています)。

そのお店は随分とアクセスの不便なところにあって、旅行者が気軽に行くには少し骨が折れそうです。そんな訳で佐藤さんは、ご自身の自家用車に僕たちを乗せてわざわざそこまでつれて行ってくれたのでした。

待ち合わせの時間に一階の交流スペースに行くと、仕事でLAC伊豆下田に来ていた方が2名、同じように佐藤さんを待っておられました。「他の人にも声かけてるんで、仲良くなってくださいね!」と事前に佐藤さんが言ってくださっていたのもあり、そのお二人と名刺を交換したりしながらしばし交流。

「すごく量が多いので、十分におなかを空かせておいてください!」という佐藤さんの事前の忠告(?)どおり、本当にこれ朝ごはん?というくらいのボリュームの朝ごはんは、地元の人が「日本一の朝ごはん」と自慢するだけのことはあるとても素敵な朝ごはんでした。

出会い

そこでご一緒した男性の一人が、ご自身のスマホを触りながら突然「えっと、杉原さんって、もしかして杉原健さんですか?」とおっしゃったので「はい、そうです」とお答えしました。

「〇〇さん、ってご存知ですよね?」

そう言ってくださるその男性には申し訳なかったんですが、最初にその〇〇さんのお名前を聞いたとき、今日はじめてお会いしたような男性から聞いたその人の名前、誰のことだか全くピンとこなかったのです。

少しして、思い当たる人がいたので尋ねてみたところ、僕がフィリピンのセブ島で働いていたときに随分お世話になっていたある方が、その男性と僕との共通の知人であったことがわかりました。そのつながりが本当に意外で、そして嬉しく、親近感が一気に湧いて、それ以降、伊豆下田に滞在中は同じ作業テーブルで仕事をさせていただく時間が増えました。たまに雑談をしたり、気軽に声を掛け合ったり。でも集中する時は業務に集中する。

前回の記事でも書かせていただいたとおり、僕はここに来てから本当に様々な出会いに恵まれています。程よい距離感での人との交流があって、少し席を立って外に出ると、下田の山々の緑と海の香りが五感をとても優しく刺激します。これで仕事がはかどらないわけがありません。

自然の中という環境やワーケーションでの出会いや人間関係、そこで生まれるダイナミズムは脳を活性化させて生産性や創造性を高めるなにかがあるらしく、それが最近「サードプレイスオフィス」や「ワーケーション」が注目を集める大きな理由の一つになっているといいます。

僕は創作活動やクリエイティビティとは程遠いところにいる人間ですが、それでもこうした出会いが仕事のパフォーマンスに与えてくれる好影響を思うと、やっぱり「来てよかった」と思わずにはいられませんでした。

LivingAnywhere Commons事業責任者の小池氏の話によると、このLAC伊豆下田も、利用者の数が前年比の2倍といいます。科学的に裏付けられるずっと前から、敏感な人々はほとんど本能的な嗅覚で、この場所にたどり着いて自らの仕事の質を、人生の質を、高めていっていたのかも知れません。

うどん屋さん(うどん・そば 本陣)

あるお休みの日、午前中をのんびり過ごしてお昼過ぎに交流スペースに降りていってみると、コミュニティーマネージャーさんがカウンターにいらっしゃったので「どこかオススメのお昼ごはん屋さんはありますか?」と聞いてみました。

ネットで調べてみてももちろんそれなりの情報にたどり着くことができますが、長い旅の経験の中で、おすすめの店やごはん屋さんは現地の人に聞くのが一番だ、というのは日本に限らず世界の常識なんだということを学んでいたので、僕はあまり「ググる」ということはしません。

コミマネさんがその時におすすめしてくれたのは「うどん屋さん」でした。海鮮ではなくうどん屋さん?下田とうどんが上手く結びつかず、最初はピンとこなかったのですが、行ってみて、これが大正解だったということがわかります。

関西風のお出汁は関西で味わうものよりも優しくて上品で、趣のある古民家を改装して営業しているそのお店のことと、その店主の方のことが、僕は一気に好きになりました。

そしてこのうどん屋さんでもまた、コミュニティマネージャーさんのコーディネートで新しい出会いを経験することになります。

ご一緒させていただいた方というのが、ヨーロッパに公共政策を学びに行くために一生懸命英語を学んでいるという若い聡明な女性で、交流スペースでぼんやりと過ごしておられたその女性が、僕たちの話を何気なく聞いていて、「私もご一緒していいですか?」と言ってくださったんです。

下田の美しい海の波の音を聞きながら食べるうどんはとても優しい味がして、そのドイツ帰りの彼女とは英語談義に華が咲き(実際彼女の英語力はかなりのものでした)、気がついたら結構な時間が経っていました。

土砂降りの雨だったので、行きはコミュニティーマネージャーさんが自家用車でそのうどん屋さんまで連れて行ってくれたのですが、帰りは雨もすっかり上がり、虹を見ながら、ペリーロードを抜けて、LAC伊豆下田までの30分を、やっぱり海の香を感じながらゆっくりとお喋りをしつつ戻ったのでした。

おそらくここに来なければ出会うことがなかったような人たちと出会い、人生が交錯する場所。それがLivingAnywhere Commonsの魅力なんだろうと思います。思いもかけないような出会いを演出してくれるこの場所に、僕は少し圧倒されたような気さえしていました。ここに来てから素敵なことしか起こっていないからです。

下田ロープウェイ

伊豆急下田の駅を降りて駅舎をでると目の前には「寝姿山(ねすがたやま)」という、女性が横になっている姿を連想させる、特徴的な山があります。その頂上へとかかる「下田ロープウェイ」まで歩いて5分の場所にあるのが、僕が生活しているLAC伊豆下田なので、このロープウェイに乗ってみない手はありません。

15分間隔で出発するロープウェーに乗り込んだ時点で空には雷雲がかかり始め、山頂に到着するころからにわかに雨が降り始めました。僕は傘を持たずに部屋をでていたので、周囲を散策することができず、屋根のある山頂駅付近のテラスから下田湾を眺めていたのですが、よく晴れた日はきっととても美しい眺めが目の前に広がっているんだろうな、ということは容易に想像できました。

ここ下田の港から、現在へと脈々と続く日本近代史が始まったという歴史的な事実。明治・大正・昭和そして平成へと続く激動の百数十年と、今僕の目の前に広がっている、うっすらと霧がかかったような下田の海が見せる穏やかさのコントラストがどうにも上手く消化できずに、しばらくなにをするともなくその場所に佇んでしまいました。

平日はとても集中して作業をする事ができる分、下田に来てからの週末は比較的ゆったりと過ごすことが多くなった僕ですが、自分の部屋から歩いて数分の場所で過ごしたこの時間は、僕にとって、まさに「ワーケーション」と呼ぶにふさわしいものになりました。

伊豆下田をあとにして

未だ暑さの厳しい8月の終わり、三週間に渡った下田での生活を終えて、僕はこの地をあとにしました。

7時43分発の熱海行の列車に乗り込んだ僕は、進行方向右手の4人がけの座席に陣取って、乗客のまばらな伊豆急の車窓から、伊豆の海を眺めていました。自分は本当にあの場所で1ヶ月近い時間を過ごしたんだろうか?そう思わずにはいられないくらい、下田での時間はあっという間に過ぎ去ってゆきました。

車窓に広がる海が来たときと全く同じ表情で、青くどこまでも広がっていたことも、この場所を訪れたことをつい昨日のことのように錯覚してしまった理由の一つかもしれません。

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