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LivingAnywhere Commonsでテレワークをしながら、色んな場所を旅してみる。〜八ヶ岳編(2)〜

前回も記した通り、LAC八ヶ岳は四方を山に囲まれた自然豊かな場所です。

そしてこのLAC八ヶ岳を訪れる前に僕が生活していたLAC会津磐梯で経験したように、ここでもまた、そのワーケーションに最適化された環境を活かして仕事のパフォーマンスを高めることができた、そんなふうに感じています。

オープン当初こそまだ十分に物品が搬入されてておらず、若干閑散とした印象が拭えなかったワークエリアですが、無料で使用できるデュアルディスプレイが並べられ、キュービクルが搬入されて個人のプライバシーがある程度守られるようになってからは、いわゆるコワーキングスペースとしての機能が飛躍的に高くなった、そんな印象があります。

そのワークエリアには、LAC八ヶ岳の本館の玄関を入った左側の、元会議室として使用されていたという一室があてがわれていて、南に面して広く開口部を確保された窓からは、富士山の姿を眺めることができます。

その玄関の正面の、いわゆるロビーにあたるエリアは、オープニングイベントの当日こそすべての什器が撤去されて広大な大広間のようになっていましたが、程なくして印象的なテーブルが並べ直されて、日が経つにつれ、ちょっとしたおしゃれな空間へと様変わりしていきました。

しばらくはそこも仕事のエリアとして開放されていましたが、その印象的な家具什器の上には、コミュニティマネージャーである渡鳥ジョニーさんの選書になるたくさんの本が並べられるようになり、ワークエリアと言うよりはどちらかと言うとカフェのような、あるいは少し広いリビングルームのような、趣のある場所になっていきます。

この拠点のテーマでもある「オフグリッドな暮らし」や移動しながら生きるということに関する本、クリエイティブな職業や生き方に関する本、建築や空間設計に関する本、ジョニーさんが取材されて掲載された雑誌のバックナンバー、果てはちょっとした哲学書にいたるまで、ジョニーさんの頭の中を覗き込んでいるかのような本たちは、同じように読むことが大好きな僕の琴線に触れるものばかりでもありました。

その本が並べられた空間に、滞在2週目以降「ハンモック」が設置されてからは、僕は自分の自由時間の大半をこのエリアで過ごすようになりました。それは本当に素敵な空間で、大きな窓からは、いわゆるワークエリアと同じように富士山が見え、ジョニーさんご夫妻が不在の時にお留守番を任されていた僕が常駐するエリアとしては申し分がなかったんです。

バーラウンジという働く空間

ただ、僕が仕事場として最初の2週間利用していたのはワークエリアでもなければ、ジョニーさんご夫妻のリビングルームのような一階の大空間でもなく、その真上に位置する、2階の元バーラウンジに当たる場所でした。

そこの柔らかな照明や、木材をふんだんに使ったインテリアが自分好みであったこともその理由の一つですが、何より僕が気に入っていたのが、窓の外に広がる眺望でした。

LAC八ヶ岳の建物の南側は鬱蒼と茂った木立になっていて、南東方向にある雄大な富士山は、そこが公道になっているために眺望がひらけていますが、基本的には決して視界がひらけているとはいえません。

一階にいると、その木立の木々が見えるだけなのですが、2階に上がってそのバーラウンジの窓から同じ南側の木立を眺めると、その木々の上、木立のはるか南の向こうに、仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳のとても美しい稜線を望むことができます。左側には鳳凰三山。深田久弥という作家の「日本百名山」に選ばれている名山4座を一望できる空間というのは、ある意味とても贅沢なものです。

そんなわけで、僕はこの場所に陣取って、LAC会津磐梯でそうしたように、緑がその視界に収まる空間で仕事に励みました。疲れて少し目を上げれば、目に優しい木々の緑と、美しい山々の稜線が僕の心を癒やしてくれます。

朝少しだけ早くその場所に行って、日が昇るにしたがって表情を変えていく山々の稜線を眺めながらその日の業務を開始します。もちろん毎日山がくっきりと見えたわけではありませんが、「日照時間日本一」を謳う北杜市の標高1000m地点に位置するこのLAC八ヶ岳から見える風景は大抵「ここに来てよかった」と思わせてくれるものでした。

建物の中で働くだけではない

LAC八ヶ岳には高速のWi-Fiが全館に設備されていて、ところどころに設置されたルーターのおかげで、どこにいても快適なインターネット環境が確保されています。

そしてそれは、建物の外に広がる、広大なオートキャンプ場においても同じことです。

ここには実験的に作成されて、実際にもう販売されるまでに至っている「インスタントハウス」という設備があります。設置まで数時間、断熱性に優れ平地であればほとんどどこにでも設置可能なこの丸くて白いオブジェのような設備は、災害時に広大な空間を避難所に変えるものとして、注目を集めているといいます。

その「インスタントハウス」にもまた、Wi-Fiのルーターが設置されているのでした。つまりこのLAC八ヶ岳の本館の前に広がる広大な「お外」もまた、仕事場として、使い放題ということです。

実際、天気のいい日などにこの場所にアウトドア用のテーブルとチェアを出して、Zoom会議をしたりしている人を何人か見かけました。確かに「どこにいても働くことができる」ような「オフグリッドな暮らし」を実験・実践するのなら、働く場所を建物の中に限定する必要なんてこれっぽっちもありはしません。

先のバーラウンジ然り、その空間に意味を与えているのは私たち人間であり、意味で人間の行動を縛っているのも人間です。意味づけられたものにそぐわない仕方で存在しているものを、私たちは心のどこかで忌々しく思ったりする傾向がありますが、このLAC八ヶ岳の敷地の中に入ってしまえば、そんな「普通でないこと」は、実験的ななにものかとして肯定的な意味を付与されて、考察の対象になるようでした。

新しい生活の様式、新しい働き方の探求というこの場所での壮大な実験は、どこか息苦しさを感じながら日々の生活を営む人にとってのサンクチュアリ(聖域)のような機能を果たすことになるのかも知れません。

生活の場としての、LAC八ヶ岳

LAC八ヶ岳の本館は、もちろん他の拠点と同様に、働く場所としての機能と生活の場としての機能を併せ持っています。

とりわけこの建物の「生活の基盤」としての機能は本当に優れていると僕には思われました。

先程ご紹介したリビングのようなロビーは、そこで仕事をしようとすればできないこともないですが、どちらかと言うとカフェのようにリラックスできる場所、落ち着くことができる空間という趣旨でデザインされているようです。

そこに流れる音楽は、これはジョニーさんの選曲によるものだそうで、聞くとその日の客層等によって日々プレイリストを変えていると言います。ジョニーさんは空間を演出するものとしての「音」に大変こだわりのある方で、流れる音楽は時にアップビートの、ややもすると仕事をする空間に流れる音楽としてはふさわしくないものが含まれていることもあるのですが、不思議なことにそれが全然耳障りではないんです。

なんでも、とても上質なスピーカーシステムを採用しているとのこと。常に柔らかく空間全体を包み込んでいる音楽は、耳障りどころかむしろ集中力を増してくれるような感じさえしました。

キッチンはとてもシンプルで機能的なもので、大きさこそ会津磐梯のような本格的な「調理場」というものでありませんでしたが、かといって家庭用のキッチンというわけでもなくて、プロの使用に耐えうる設備と機能を備えているという印象です。ゆくゆくは、会津磐梯がそうしているように、地元の食材やプロの料理人などを招いて、食に関するイベントなんかもやってみたい、とのことでした。

館内の個室は2人部屋のツインルームから6人位が滞在できる大広間のような和室までバラエティに飛んでいて、各居室には専用の洗面とお手洗いが設置されています。ある意味で、中途半端なワーケーション向けの宿泊施設に滞在するよりも快適な空間が約束されている。そんな印象を受けました。

旅人のためのホスピタリティに溢れた宿泊施設

それから個人的に一番気に入っていたのが、2階の展望浴場です。

移動の多い生活に慣れてくると、「湯船に浸かる」ということが少なくなってきます。僕のように移動が多い人間は、お湯に浸かることができる環境には心がずいぶん踊ります。移動先、宿泊先に湯船が設置されていないことが多いためです(安宿に泊まっているということです)。

ですから旅人のように、移動することの多い人が作った宿泊施設というのはなんとなくわかります。普通に過ごしていると気がつかない「かゆいところ」に手が届くホスピタリティが詰まっていることが多いからです。

お風呂一つとってみてもそうですが、これをシャワーだけの利用に限定すれば、施設の維持管理という点ではコストも手間も、節約することができて良いのかも知れません。

けれど、ここではいつでも温かい湯船に浸かることができました。長い移動の生活に慣れてしまった人間にとっては、リラックスして、ゆっくりと眠りにつくことができる空間というのは、決して建物の構造だとか、設備の新しさだけによってもたらされるものではありません。

ゆっくりと旅の疲れを癒してほしい。そんな思いでプロデュースされた宿泊施設には、単に最新の設備やおしゃれなだけで機能的ではない空間にはない、独特の温かみのようなものがあります。

それが、いつでも入れる温かいお風呂だとか、ちょっとした場所に設置された椅子だとか、無造作に置かれているクッションの心地よさだとか、流れる音楽の質だとか、そういうものとして現れてくる。

ここのコミュニティマネージャーのジョニーさんは、色んな人とのコミュニケーションを積極的に楽しむタイプの方ではないのかも知れません。けれど、ここを訪れる人全てに満足して帰ってもらいたいという思いがこの空間には溢れていて、そのことが、この空間に効果的に配置された「モノ」や、いつでも入れるお風呂という形をとって、彼のホスピタリティを雄弁にものがったている。そんなふうに感じました。

直接お伺いすることはできませんでしたが、バンライフという生活スタイルの中で、いろんな不自由を経験してこられたからこそ提供できる理想の生活の場所というビジョンが、ジョニーさんの中にはあるのかも知れません。

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